TUSAのダイブコンの「DC Solar」が発売されると
この機種独自の「M値表示」機能が現れた事で
質問を受けるようになりましたので、ここでも解説を記載します。
M値とは
M値(Maximum allowable pressure value)
最大許容圧値と言われています。
ダイビングにおいては、無減圧限界時間で潜れる
最大限の体内の窒素圧になります。
ダイビングで窒素が溜まってくると、体の中で窒素が充満してきて
やがて飽和し体内で泡ブクとなり、体に障害を引き起こします。
そしてこれ以上、窒素を取り込むと、気泡が出来てしまうという
体の中の限界の圧力がM値と言うものです。
無減圧限界時間と似ていますが
時間ではなく、体内の限界圧力の値となります。
なおDC Solarではこのように表示されます。
なぜM値の機能が搭載されたか
結論から言うと、ダイブコンを守って
無減圧限界時間の範囲内で潜っていたのに
減圧症にかかるダイバーが増えているからです。
大きな理由の一つとして、体の場所によって
窒素の溜まり方が違うのですが
無減圧限界時間だけでは、窒素の飽和を表示しきれないからです。
無減圧限界時間は、深くへ行けば短くなり
浅場に戻ってくると、また長くなっていくよう
プログラムを組まれています。
しかし中層から浅場にかけて、戻ってきた時に
無減圧限界時間が、ものすごい長い時間に戻ってしまいます。
実際には多くの窒素を溜め込んでいるのに
ずっと潜っていられるかのような表示になってしまう
無減圧限界時間のプログラムに限界が出てしまいます。
体内には窒素の吸収の早い所と、遅い所があり
同様に排出の早い所、遅い所があります。
長い時間のダイビングで、多くの窒素を取り込むと
排出に時間がかかる部分の窒素が、抜けきらずに
また浅めのダイビングで長めに潜り、徐々に飽和の限界点を
迎えてしまいます。
この場合でも、ダイブコンの表示では無減圧限界時間の
範囲内である事があります。
DECOを出さなかったからと言っても
無減圧限界時間の、常にギリギリの水深で潜ってきたり
中層で延々と潜っていたりが、大きな原因となります。
ここで限界時間内とは別に、体内の窒素が規定値まで
溜まってくると、警告音と警告表示が出て教えてくれるようになりました。
なおこの機種では、80%・90%・95%と、3段階のM値の設定をできます。
デフォルト(初期設定)は90%で、体内の窒素圧が90%になった時に
警告を始めます。
この無減圧限界時間では、表示しきれなかった体内の窒素の管理を
M値の表示によって補う事が出来ます。
これがM値の機能を追加した理由になります。
もしこの機種をお使いの場合は、是非気にして見て下さい。
それではM値についてでした。